下記のように、第8回 場の言語・コミュニケーション研究会定例会を開催いたします。ふるってご参加ください。
日時 平成26年9月5日(土)午後2時~午後5時半
場所 早稲田大学 8号館 808号室 (大学構内マップ)
発表者 城野大輔 (東京学芸大学大学院)
テーマ 「場の言語学からみる「の」名詞化節―主要部内在型関係節と補文を中心に―」
概要:本発表では、場の言語学の観点から、主要部内在型関係節(「テーブルの上に無造作に現金が置いてあったのを見る」など)や補文(「テーブルの上に無造作に現金が置いてあったのを知って驚く」など)に見られる「の」のスキーマ的意味を明らかにし、両構文のネットワークを構築することを目的とする。いずれの「の」も意味を持たない統語的要素として扱 われてきたが、「の」が節内の事態をひとまとまりで捉えるとき、そこには場の理論に基づいたスキーマ的な意味が存在すると考えられる。例えば、主要部内在型関係節では、「の」が単に形式的に節を名詞化し、参与者の際立ちという面で主要部を捉えているわけではなく、「の」が話し手と聞き手を取り込むような<場>として機能しているのである。このような<場>において、話し手と聞き手は主要部を積極的に同定しようとせず、その場に没入して事態全体をありのままに受け入れる。このことは、補文にみられる「の」と「こと」節との相違を理解するための鍵にもなると思われる。コーパスから実際の用例にあたり、「の」の<場>としての機能を検証する。