研究会からのお知らせ

第14回場の言語・コミュニケーション研究会定例会のお知らせ

2015/02/17

下記のように、第14回 場の言語・コミュニケーション研究会定例会を開催いたします。ふるってご参加ください。

日時 平成27年4月18日(土)午後2時~午後5時半

場所 早稲田大学 8号館 808号室

決まりましたらトップページにてお知らせいたします

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発表者 奥川育子先生

テーマ 「物語談話における談話展開と視点」

発表要旨

本研究の目的は自然な日本語の物語談話(Narrative)とはどのようなものなのかを明らかにすること、また、日本語上級者であっても習得が難しい「一つの構造体としてのまとまりを構成する」談話展開技術がどのようなものか明らかにすることである。そのため、日本語母語話者と学習者に言葉のないアニメーションのストーリーを書いてもらった物語談話を認知機能言語学の観点から分析し、それぞれの談話における談話展開をつかさどる文法(本発表では「視点」に着目)と談話構造がどのようなものなのかを示す。

本研究の結果、日本語母語話者は新登場(人)物を談話に導入するとき、その(人)物に一時的に注目が集まるように、新登場(人)物をガでマークし、注視点をそこに移動するが、視座は談話全体を通して、一貫して主人公に置いており、物語の談話展開がスムーズに展開していることが明らかになった。

一方、日本語学習者は母語(中国語、英語)にかかわらず、上級レベルになっても注視点の新登場(人)物への移動と主人公(ピングー)への視座の固定をおこっているものはほとんどおらず、視座の主人公への固定は上級レベルにとっても習得が難しいことが判明した。中級においては、視座を判定する手がかりを使用しないものが多いということがわかった。

以上より、日本語母語話者の物語談話の特徴である「注視点の登場(人)物への移動」と「視座の主人公への固定」は上級学習者にとっても習得が難しいものであり、この注視点と視座に関する学習者と母語話者との差が、学習者の談話の不自然さの要因の一つになっていると考えられる。また、日本語母語話者(「主観的事態把握」)と学習者の事態把握(「客観的事態把握」)の違いが物語談話の中に顕著に表れていることも明らかになり、学習者の母語(英語、中国語)の談話でもそのような傾向にあることが示された。

本研究より明らかになった日本語母語話者と学習者、非母語話者の談話の差は「場の理論」(井出祥子(2006)『わきまえの語用論』大修館書店、岡 智之(2013)『場所の言語学』ひつじ書房)から説明できると考えられる。場により、日・英・中国語の文法および談話との関係を、具体的かつ実証的に解明できるだろう。

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第13回場の言語・コミュニケーション研究会定例会のお知らせ

2015/02/17

下記のように、第13回 場の言語・コミュニケーション研究会定例会を開催いたします。ふるってご参加ください。

日時 平成27年3月28日(土)午後2時~午後5時半

場所 早稲田大学  8号館808号室

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発表者 小森由里先生

テーマ   「場の理論に基づく他称詞の分析 ―親族の事例より―」

発表要旨

人称詞には、話し手が自分自身を指す自称詞、聞き手を指し示す対称詞、そして話し手と聞き手が話題にする人物を表す他称詞がある。人称詞の研究は、これまで自称詞と対称詞に集中することが多かった。人称詞に関わる人物が、自称詞や対称詞では話し手と聞き手の二者であるが、他称詞の場合、話題の人物を含め三者となる。話し手と聞き手、話し手と話題の人物、聞き手と話題の人物という複雑な人間関係を把握する必要があるため、他称詞の研究に消極的だったのではないかと推察できる。本研究では、実在する親族を対象に参与観察を行い、親族間で他の親族に言及する他称詞のデータを収集した。調査対象となった親族は和歌山県に在住し、血縁関係にある者だけではなく、婚姻によって親族となった非血縁者や義理の親族関係の者などを含み、祖父母世代、親世代、子世代という三世代から構成されている。そのため多様な親族関係のさまざまな世代間でのインターラクションを考察することができる。また参与観察という手法を用いることで、コミュニケーションの場に密着し、自然談話の中で運用されている他称詞のデータを収集できる。そこで本発表では、話し手、聞き手、場の参与者の言語行動に着目しながら、コミュニケーションの場全体から他称詞を捉え、他称詞の運用メカニズムを分析する。

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第12回場の言語・コミュニケーション研究会定例会のお知らせ

2015/02/17

下記のように、第12回 場の言語・コミュニケーション研究会定例会を開催いたします。ふるってご参加ください。

日時 平成27年2月28日(土)午後2時~午後5時半

場所 早稲田大学  8号館808号室

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発表者 野村佑子先生

テーマ  「心的事象の開示と受取:日英語会話比較研究からの一考察」(仮題)

発表要旨

本発表は、会話において話し手が自身の経験を語る中で、話し手自身の心的事象(気持ちや感想)を説明し、聞き手がそれに対して反応するやりとりを日英語会話で比較する。データとして、日本語または英語母語話者同士二人一組がおよそ5分語り合った会話を書き起こしたものを使用する。心的事象は話し手本人のみが知ることであるが、データを観察すると、話し手が心的事象を会話の中で開示すると、その発話に対して聞き手は笑いや「すごい」「怖い」などの短い評価的な発話を持って積極的な反応を示す様子が見られた。さらに両言語で比較すると、日本語会話のほうが英語よりも頻繁にこのやりとりが行われていることが分かった。発表ではこのような違いが何に起因するのかを探ることを目指して、各言語の文法的な特徴、高頻度で起こる形式の違いと照らし合わせながら考える。

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