第15回定例会の会場が決定しました。
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2015/05/05
下記のように、第15回 場の言語・コミュニケーション研究会定例会を開催いたします。ふるってご参加ください。
日時 平成27年6月13日(土)午後2時~午後5時半
場所 早稲田大学 26号館(大隈タワー)302号室
(前回と建物が異なりますので、ご注意ください。)
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発表者 小森由里先生
テーマ 「場の理論からみる他称詞の運用―親族の事例より―」
発表要旨
人称詞には、話し手が自分自身を指す自称詞(一人称)、聞き手を指し示す対称詞(二人称)、そして話し手と聞き手が話題にする人物を表す他称詞(三人称)がある。本発表は、他称詞の運用に焦点をあて、話し手が話題の人物を捉える「視点」と他称詞の「表現形式」の選択の実態を明らかにし、「視点」と「表現形式」の選択に関わる要因を探究することを目的とする。実在する親族を対象に参与観察を行い、親族間で他の親族に言及する他称詞のデータを694例収集し分析した結果、次の四点が明らかになった。
(1) 話し手が話題の人物を捉えるには、話し手の視点、聞き手の視点、第三者の視点という三通りの視点の取り方がある。
(2) 他称詞の表現形式として主に親族語、名前が使われ、ごく稀に姓が使われることがある。
(3) 視点と表現形式の選択には、話し手・聞き手・話題の人物の三者間の世代差と血縁関係(親密度)が関わっている。
(4) 聞き手が年少者の場合、話し手は聞き手の年齢に配慮し、話題の人物を捉える視点を決定する。
話し手は、刻々と変化する発話の場において、話し手と聞き手、話し手と話題の人物、聞き手と話題の人物という三者間の世代差、血縁関係、親密度を瞬時に判断し、話題の人物を捉える視点を定め、その視点に基づき他称詞の表現形式を選択しているのである。このような観点から、親族間で運用される他称詞を場の理論から考察する。
以上