研究会からのお知らせ

第21回場の言語・コミュニケーション研究会定例会のお知らせ

2016/02/01

下記のように、第21回 場の言語・コミュニケーション研究会定例会を開催いたします。ふるってご参加ください。

日時 平成28年2月27日(土)午後1:30~午後4:30

場所 早稲田大学 8号館808室

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発表者  早野薫先生

テーマ   「会話分析のこれまでとこれから」

発表要旨

会話分析は、自然会話データを分析することによってインタラクションの中で社会的な秩序がどのように保たれ、維持されているのかをミクロの視点で明らかにしようとする、社会学から生まれた研究分野である。その分析方法は独特で、緻密に書き起こした文字データを作り、会話の細部を無視せず、そして研究者の先入観をできるだけ排除して、会話参加者たちがしたがっている「規則」を記述する。そのような方法により、順番交代の規則、発話、聞き取り、あるいは理解に関わるトラブルが生じたときの対応(修復)に関わる規則、発話と発話が相互に結びつき、意味あるやりとりが成立する仕組み(連鎖構造)など、会話の仕組みの様々な側面が明らかにされてきた。

本講演では、会話分析が展開してきた背景、これまでの研究の流れを簡単に概観し、具体的な例を挙げながらその分析方法、分析方法の根底にある考え方を紹介していく。とくに「優先組織(preference organization)」に焦点を当て、会話の中で社会的関係性がどのように配慮されているのか、会話分析のアプローチががBrown & Levinsonのポライトネス理論とどのように異なっているのか議論したい。さらに、自閉症と診断された子どものインタラクションを分析した研究(Maynard 2005など)、東関東大震災による被災者とボランティアのインタラクションを研究した研究(西阪他2013)を例として挙げながら、インタラクションにおける「特殊な」事情、要因に、会話参加者達がいかに柔軟に、ダイナミックに対応しているのか、それを描き出すことに会話分析の方法がどのように応用されているのか示す。ディスカッションでは、会話分析と場の言語学の接点を探り、今後の方向性、課題について考察したい。

以上

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